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トワノクオン特集



<後編>はこちら
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■クオンとの出会い

――今作のキャスティングはオーディションだったのでしょうか?

「じつはオーディションではなかったんです。マネージャーから「『トワノクオン』の作品があるんですが、もしかしたら神谷さんにご出演していただくかもしれません」と軽く言われて、そんなお話があるなら是非参加させていただきたいなと。その時はまだスタッフさんのお名前も、どんな作品なのかも、どんな役なのかもまったく分からず、「劇場に掛かる作品で、全6章」というだけをぼんやりと伺ったぐらいでした。 その後しばらくして、マネージャーから「以前お話しした『トワノクオン』ですが、神谷さんにご出演いただくことになりましたと」という話があって、「オーディションみたいなものがあって、せめて声だけでも聴いていただけたらな…と思っていたんですが、出演させていただくことに決まったんですね。で、どんな役なんですか?」と聞いたら、「クオンという役で…」「え?『トワノクオン』という作品で、クオンという役ということは、結構メインの役なんじゃないんですか?」「ええ、主役になります」と言われました。そんなことであっていいのかって驚きましたね(笑)」

――そこで初めて役名と、主役だと知ったんですね。

「そうなんです。じつはその時もまだキャラ表(※キャラクターの絵柄がわかる資料)とか、どんなお話なのかという資料は届いていなかったんです。その後いただいたんですけど。そこで初めてこれがクオンだって認識したんです。
非常に主人公然としたキャラクターデザインで……もしかしたら誤解が生じるのかもしれませんが、ちょっと懐かしさを感じるような、物語の中心にしっかり居る主人公のデザインだなと、力強さを感じたのが一番最初の印象ですね。
いただいた資料をめくると、まずはスタッフクレジットがあって、飯田監督を始め凄い方々のお名前が書いてありました。僕は川元さん(※注1)さんの絵が凄く好きで、「川元さんのデザインなんだ!」と、ページを戻したり(笑)。凄いスタッフさんが、しかもオリジナル作品を作るんだなって思いながら読んでいましたね。
でも、そもそも何で自分を選んでいただいたのかっていう理由は、未だに伺っていないんですけど(笑)」

■クオンのキャラクター作り

――役柄を知ってから、設定や物語を知るというのもなかなかないことですね。では、そこからアフレコまでに役柄を掴んでいったわけですね。

「そうですね。ただその当時、若林(和弘)音響監督とは別の作品の現場でもお会いする機会がありましたので、「今度『トワノクオン』をよろしくね」と声を掛けていただき、「飯田監督はお亡くなりになってしまわれたけど、この作品を託されたので最後までよろしく頼むよ」「何かわからないことがあった聞いてね」っておっしゃっていただきました。
若林音響監督には、わからないことがあるとその都度いろんな現場でお伺いしたり、若林音響監督から「何かわからないことある?」「クオンはここはこうだから」と説明してくださって……別な現場なのに(笑)。また、事前に作品を理解する上での資料みたいなものを若林音響監督自身がまとめて、3話分のシナリオと一緒に渡していただきました。
正直お話やキャラクターがこの先どうなっていくのか不透明の部分が多いオリジナル作品で、若林音響監督の方から色々指示をいただいたり、事前に資料をいただいたりしたことで、不透明だった部分がある程度解消された状態でアフレコに望むことができました」

――若林音響監督とのやりとりで、神谷さんがクオンを演じる上で一番ポイントにしたことは?

「結構物語の根幹に関わって来る所だったりするので、深くお話することはできないんですけど、ただ、全体的な役作りの駄目出しとして「とにかく、クオンは心優しい穏やかな少年なので、そういう心積もりでお願いします」ということは言われました」

――役作りは、事前にいただいた資料から作られたのでしょうか?

「そこまでではないです。やはりあくまで台本とト書き(※注2)と仕上がってきた絵を観て、自分の中から生まれて来た音(声のトーンや演技)を信じるというのが一番なんですが、その音に裏付けが必要になってくるので、何故そういう音を構築していくのかというヒントが書いてある。先ほどなぜ「心優しい穏やかな」感じで語りかけなくてはいけないか、ということを裏付けるために「そういった設定があるんですよ」というのを事前に教えていただいたということですね。
当然、どうしてそういう音を出さなきゃならないのかって疑問に思いながら出すのと、その理由を理解して出すのでは、若干質が違うと思うんです。そういった意味では疑問は少ない方がいいし、そういう疑問を少しでも解消してくれる作業を若林音響が全部やってくださるので、非常に助かっています」

――オリジナルだからこそ神谷さん自身が膨らませられるキャラクター性もあると思います。

「僕は設定にないところに関してはあまり深く考えないようにしているんです。設定にある部分に関しては自分の中に取り込んで、それをちゃんと消化しないといけないなとは思いますけど、そこから外れていったところで勝手に創作していくと、もしその外れた部分が後々出て来てしまった時に、そのギャップをどう埋めて行くかという問題や、自分が演じてきた理由のひとつが違ったとなるので、それまでのセリフが嘘になってしまうことにもなります。それは、オリジナルだろうが原作がある作品だろうが同じで、僕はそういう関わり方をしています」

■インサニア・クオン(能力を発現させた状態のクオン)とそのバックボーン

――インサニア・クオンの声も神谷さんが演じているそうですね。「心優しい穏やかな」クオンとは随分とギャップのあるデザインですが、どう演じられているんでしょうか?

「もちろん観られている方はギャップがあるでしょうが、クオンは自分の信念に基づいて動いているので、演じる側としてはちゃんと交通整理が出来ていて、納得がいって演じています。台本には取り立てて文言でセリフが書かれているわけではないので、それに関しても若林音響監督と「どういうふうな音を作っていったらいいですか?」「そのままの獣でいいです。獣の咆哮、うなり声だとか、そういう感じで全てのアクションシーンには音を付けてください」というお話をさせていただきました。また、このカットにはインサニア・クオンのアドリブをお願いしますという指示が書かれた紙を事前に制作して台本と一緒に下さるんです。それを参考に、映像を観て「ここにも足せるんじゃないかな」というカットには自分からも足しつつ。 オリジナル作品なので、現場でのディスカッションというか、現場でいろいろ試してみて最終的に取捨選択され、良いモノを作られていくという空気はありますね」

――インサニア・クオンのデザインからは「一般的なヒーローとは違うのかな?」という印象も受けました。

「どうなんでしょうか。確かに、ヒーロー然としたところ……クオンの行動は彼の中の正義に基づいているので、みんなが望んでいるヒーロー的な行動ももちろんあります。ただ、そこに辿り着くまでの彼のバックボーンみたいものが……。じつは、そこを見ていただきたいんです。ですから、そこに注目していただけるとよりクオンというキャラクターがより深く、魅力的なモノに映るんじゃないかなと思うんです」

――バトルアクションはもちろんですが、クオンの背負っているもの、行動理由といった部分がドラマ的な見所になっていきそうですね。

「そうですね、クオンも見た目は13、4歳の少年ですし、その他のキャラクターたち……力を身に付けてしまう少年少女たちというのも、同様の年齢です。その時期って色々なものがあって、当然のように鬱屈しているじゃないですが。そういうものが具現化してしまった場合どうなってしまうのか。それは誰もが通過する時期でもあるので、この作品、この設定や物語を誰も否定できないんじゃないかなっていう気がします。みんなが通って来た道だから、共感できる部分がどこかに必ずあると思います」

<後編に続く>

取材・文:小林 治
(2011年5月 都内某所にて)

※注1:川元利浩/キャラクターデザイナー・作画監督。
※注2:台本に書かれたセリフではない、登場人物の状況説明。

<神谷浩史プロフィール>

青ニプロダクション所属。近年の代表作は『機動戦士ガンダム00』『さよなら絶望先生』『夏目友人帳』『ハチミツとクローバー』『マクロスF』(いずれも主役もしくはメインキャスト)など。声優アワードでは、史上初の主要三冠(主演男優賞、パーソナリティ賞、サブキャラクター男優賞)を獲得。
声優業以外にも幅広く活躍しており、アーティストとしてソロ作品をリリースしている。入野自由と組んだユニット「KAmiYU」は今年8月に1stミニ・アルバムをリリース、今夏にはツアーも開催する。

アニメぴあ/神谷浩史『トワノクオン』インタビュー <後編>はこちら

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